油彩

ウォ

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 ここに収めた水彩作品は、その多くが写生による習作である。特に野外での写生では、刻々と変化する光の条件を目で追い、その色彩を絵の具によって定着させるのにたいそう骨が折れるものだ。しかし、それはまたボクを色彩研究へと導いてくれた。水彩というのは、その新鮮かつ透明な色と素早い筆さばきで、珠玉の瞬間を見事に捉えるのに最も適した画材だが、色彩研究の成果はまた、ボクに一つの疑問を投げかけた。普遍的な “自然の色彩” を手に入れるための印象派のたゆまぬ努力は、果たしてそれほど価値あるものだったのか、と。というのも、色彩というのは、光は言うを俟たず、ボクたちの感情や知覚といった絶えず流動する諸条件により左右される、飽くまで主観的なものであるに違いなく、その意味では恒常的な自然の色を手に入れることなど不可能なのだから。 ひるがえって、油彩技法は、北方ルネッサンス初期の、ヤン・ファン・エイク、ロヒール・ファン・デル・ウェイデンらに代表されるフランドル画派が大成して以来、現代に至るまで西洋美術の主翼を担ってきた。この間、あらゆる技法や表現の可能性が、この画材により洋の東西を問わず模索され続けてきたが、もはやボクには油彩をもってしては何もなすことはないと思われるほどだ。ここに収めた油彩による寡作は、ボクが日本の墨とアクリルを併用したハッチング技法へと移行する以前の、手元にとどめた数少ない習作である。

イギリス湖水地方在住の日本人美術家 | JAPANESE ARTIST IN THE ENGLISH LAKE DISTRICT | UNITED KINGDOM

Hideyuki Sobue's Portfolio | Copyright © 2020 Hideyuki Sobue. All rights reserved.

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